こんにちは、かっぱ隊長です。
夏の夜、あの独特の煙の匂いが漂ってくると、昭和の記憶が一気によみがえります。
蚊取り線香です。
現代は「蚊取りマット」「液体蚊取り」「スプレー」と選択肢が豊富ですが、昭和の夏の蚊との戦争は、主にこの二大兵器で戦われていました。
「渦巻き式」と「マット式」——どちらを使うかで、その家の「蚊対策スタイル」が問われた時代のお話です。
目次
昭和の夏と蚊の関係
昭和の夏は、蚊との戦いでした。
エアコンが普及していない時代、窓は全開が基本。
網戸があってもどこかに隙間があり、蚊は平然と侵入してきました。
夜中に耳元で「プーン」という音がした瞬間の絶望感。
布団の中に潜り込んで蚊から逃げようとするも、暑くて出てきたところを刺される無限ループ。
昭和の子供たちは毎晩この戦いを繰り広げていたのです。
そんな昭和の家庭の「対蚊兵器」として君臨していたのが、蚊取り線香でした。
渦巻き式蚊取り線香という「緑の螺旋兵器」
渦巻き式蚊取り線香の歴史は古く、明治時代にまで遡ります。
あの独特の緑色の渦巻き形状には理由があって、長時間燃焼させるために渦巻き状にしたのです。
一巻き燃やすのに約7〜8時間。一晩中使えるという設計でした。
豚の形をした陶器の「蚊取り豚」に入れて使うのが昭和の定番スタイル。
あの豚の口や穴から煙がモワモワと漂い出る様子は、昭和の夏の風物詩そのものです。
ただし問題もありました。灰が崩れる問題、風で消える問題、そして煙が多い問題。
部屋中に煙が充満して、蚊より先に人間がやられそうになることも笑
豆知識ですが、渦巻き式蚊取り線香を世界で初めて開発したのは日本の「金鳥(大日本除虫菊)」。1902年(明治35年)のことです。あの渦巻き形状は日本生まれの発明だったのです。
マット式の登場と「電気式革命」
渦巻き式の煙問題を解決すべく登場したのが、マット式蚊取り器(電気蚊取り)です。
薬剤を染み込ませた小さなマットを電熱器にセットして、じんわり成分を揮発させる仕組み。
煙が出ない、火の心配がない、においが少ない。
これは昭和の家庭にとって「蚊対策の革命」でした。
「アース渦巻」「キンチョール」から「キンチョーマット」「アースノーマット」への移行は、昭和後期から平成にかけての家庭における静かな革命だったのです。
ただし渦巻き派の昭和お父さんたちは「電気式は効かん!やっぱり線香や!」と主張し続けていました笑
渦巻き派vsマット派の家庭内論争
蚊取り線香をめぐる家庭内論争は、昭和の夏の風物詩でもありました。
お父さん「渦巻きじゃないと気分が出ない」
お母さん「煙いし灰が散らかるからマット式にして」
子供「どっちでもいいから早く寝かせて」
このやり取り、経験のある方も多いのではないでしょうか笑
渦巻き派の主張は「あの煙と匂いで蚊が逃げるんや」というもの。
マット派の反論は「無煙で効果は同じ、むしろ安全」というもの。
どちらも間違っていないのですが、渦巻き派には「風情」という最強の切り札がありました。
機能だけでなく「夏の雰囲気」まで演出する渦巻き線香——これは日本人の美意識の産物だったのかもしれません。
蚊帳という「前時代的防衛システム」も忘れるな
昭和の蚊対策を語るなら、蚊帳(かや)も外せません。
寝室全体を薄い網状の布で覆うあのシステム、昭和40年代くらいまでは地方の家庭でも現役でした。
蚊帳の中は独特の緑がかった薄明かりに包まれ、外とは別世界のような空間。
子供心に「秘密基地みたい」とワクワクした記憶があります笑
ただし設置と片付けが面倒で、蚊帳を吊るす四隅のフックを探すのが一苦労。
「昭和の夏の大仕事」の一つでした。
あの煙の匂いは昭和の夏の匂い
蚊取り線香の煙の匂いを嗅ぐと、今でも昭和の夏が一瞬でよみがえります。
縁側でスイカを食べながら、蚊取り線香の煙が漂う夕暮れ。
遠くで花火の音がして、窓の外に鈴虫の声がする。
エアコンもスマホもなかったけれど、あの夏の夜には確かな豊かさがありました。
渦巻き式もマット式も、どちらも昭和の夏の記憶の一部。
今年の夏、たまには渦巻き線香を一本焚いてみてはいかがでしょうか。
あの煙の中に、昭和の夏が詰まっています。
かっぱ隊長でした。
昭和40年代生まれの何の取り柄もない爺いです。
関西出身の東京在住。
懐かしいもの、怖いものが大好き。


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