昭和という時代は、今思えば不思議なエネルギーに満ち溢れていました。インターネットもSNSもない時代、私たちの情報の源はテレビと雑誌。そこで一度「こいつはスゴイ!」と紹介されれば、翌日には日本中の子供からお年寄りまでがその名前を口にしていたものです。今回は、昭和の日本を熱狂させた「変な動物たち」を振り返ってみましょう。
襟を立てて走るアイツ:エリマキトカゲ
昭和59年(1984年)、日本中に激震が走りました。きっかけは、三菱自動車のテレビCM。
砂漠を二本足で、襟をパタパタさせながら必死に走るトカゲの姿に、日本人は釘付けになったのです。
「な、なんだあの生き物は!?」
そう、エリマキトカゲです。本来はオーストラリアに生息する大人しいトカゲなのですが、あの「必死な走り」が日本人の琴線に触れました。
当時のフィーバーぶりは凄まじく、ぬいぐるみはもちろん、あらゆるグッズが街に溢れました。
あのエリを広げて走る姿、実は「めちゃくちゃ威嚇して、めちゃくちゃパニくって逃げている」状態なんです。現地ではめったに見られない光景なのですが、日本の撮影クルーが追いかけ回したからこそ撮れた奇跡(?)のカットだったと言われています。ちなみに、今では信じられませんが、当時は本物のエリマキトカゲがデパートの屋上で展示されることも珍しくありませんでした。
謎のピンク色した宇宙使者:ウーパールーパー
エリマキトカゲの興奮冷めやらぬ翌年、昭和60年(1985年)。今度は水の中から刺客が現れました。
そう、ピンク色の不思議な両生類、ウーパールーパーです。
これもきっかけは焼きそばのCM。「ウパッ」という耳に残るフレーズと共に、つぶらな瞳とエラをなびかせる姿が、日本中の「カワイイ」を独占しました。
実はこの「ウーパールーパー」という名前、日本国内でのプロモーション用の愛称なんです。正式名称はメキシコサラマンダー(アホロートル)。あんなに可愛いのに、名前の響きがちょっと強そうですよね。
ブームは終わっても、今でもペットとして飼育されてる方も多く、一般的に価格も3000〜5000円ほどとお手頃感のあるペットになっていますね。
空を飛ばない、でも飛ぶ:ムササビとモモンガ
昭和のペットブームの中で、一部の熱狂的なファンを生んだのが「滑空系」の動物たちです。
当時は「野生の王国」的な番組も多く、夜の森を滑空する姿に憧れる大人が続出。
「家の中で飛ばせたい!」という無茶な願いを叶えるべく、ペットショップではムササビやモモンガが売られていました。しかし、彼らは夜行性。飼い主が寝静まった深夜にケージの中で暴れまわり、朝起きるとカーテンがボロボロ……という悲劇が全国の家庭で繰り返されました。
伝説のUMA:ツチノコ
動物といっていいのか分かりませんが、昭和の「変な生き物」を語る上で外せないのがツチノコです。
昭和40年代から50年代にかけて、日本中がこの「ビール瓶のような形の蛇」を探して山へ入りました。
賞金1億円をかける自治体まで現れ、空前のツチノコ・ハンティング・ブーム。
「いや、あれはアオジタトカゲの見間違いだ」なんて議論が、真面目な顔で茶の間で行われていたのが昭和という時代の愛すべきところです。
昭和のブームが教えてくれること
こうして振り返ってみると、昭和の「変な動物ブーム」は、常にテレビCMやメディアが作り出した「熱狂の魔法」の中にありました。
現代なら、スマホで検索すれば数秒でその生態が分かり、YouTubeで24時間ライブカメラが見られます。でも、あの頃の私たちは、テレビの向こう側の「まだ見ぬ不思議な生き物」に、もっとピュアな好奇心を抱いていました。
エリマキトカゲの必死な走りに自分たちのサラリーマン人生を重ね、ウーパールーパーの虚無な表情に癒やしを求めた昭和の人々。
もし今、あなたの家の押し入れから、埃を被ったエリマキトカゲのぬいぐるみが出てきたら、それはあの熱い時代の「忘れ形見」かもしれません。ちょっとだけ手に取って、埃を払ってあげてくださいね。
皆さんの思い出の「話題になった動物」は何ですか?アザラシのタマちゃん?それともレッサーパンダの颯太くん?
かっぱ隊長でした。
昭和40年代生まれの何の取り柄もない爺いです。
関西出身の東京在住。
懐かしいもの、怖いものが大好き。


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