ジャンプの裏広告は「男の修行」の入り口だった!〜怪しい通販広告の世界

昭和文化
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こんにちは。カッパ隊長です。

昭和という「熱気と混沌の時代」を泥まみれで生き抜いた同志の諸君、お元気でしょうか。

今の若者がスマホでYouTubeの広告をスキップしている横で、逆にかつての我々は「紙の上の広告」に心を奪われていました。

そう、少年ジャンプの巻末や裏表紙に燦然と輝いていた、あの「怪しげな通信販売広告」の世界です。

裏表紙は少年たちの「欲望のデパート」だった

当時の雑誌の裏表紙は、まさにカオスそのものでした。

令和となった現在でも、怪しい「開運グッズ」を身につけた途端、美女に囲まれ、なぜか札束の詰まった浴槽に浸かって笑っている男性、そんな広告をよく目にしますね。

しかし、昭和の時代は少し趣きが違いました。

美女なんか出てきません。ただ一面の裏表紙にこれでもかというほど、たくさんの商品が紹介されていました。

筋トレグッズから、モデルガン、プロレスマスク、はては「スパイカメラセット」や、絶対に見えないと分かっているのに買わずにはいられない「透視メガネ」まで、カオスと呼ぶに相応しい商品が山のように掲載されていたのであります。

そして、これらは「胡散臭い!」と分かっていても、多感な少年たちの心に「もしかしたら……」という1%の希望を植え付けるには十分すぎる破壊力を持っていました。

SNSの広告が「あなたへのオススメ」を提示する現代とは違い、当時の広告は「君のコンプレックスを力技で解決する」という、荒々しくも情熱的なメッセージに満ちていたのです。

その中でも特に私の記憶に刻まれている二大巨頭、「ビガーパンツ」と「ブルワーカー」について取り上げてみましょう。

漢のプライドを守る鎧? 伝説の「ビガーパンツ」

まず避けては通れないのが、あの「ビガーパンツ」です。

そもそもビガーパンツとは何だったのか? 直球で言えば、「自宅でこっそり直す、包◯矯正パンツ」です。

息子の頭の部分を固定するリングや、皮が被らないようにキープする特殊な構造……。デザイン性などもあまり考慮せず、「機能(自称)」のみを追求したそのシルエットは、まさに下半身の重装甲騎士。

このパンツ、昭和の少年なら全員が名前を知っているレベルの知名度を誇りますが、不思議なことに「このパンツ買ったよ」とか「俺、あれで治ったよ!」という体験談を聞いたことが一度もありません。これこそが「昭和七不思議」のひとつに数えられる所以です。

しかしながら考えてみれば当然です。当時の少年たちにとって、ビガーパンツを買うということは、親や郵便配達員に「僕は今、ムケていません」と宣言するに等しい自爆行為だったのですから。

それゆえビガーパンツを所持している事を誰も口に出さない、墓場まで持っていく秘密だったのであります。

5分で君もムキムキに!? 筋肉の錬金術「ブルワーカー」

ビガーパンツが「静」のコンプレックス対策なら、こちらは「動」の象徴。泣く子も黙る筋トレマシーン、「ブルワーカー」です。

この広告に掲載されていたマンガこそ、日ペンの美子ちゃんに並ぶ日本のマーケティング界におけるひとつの完成形と言えるのではないでしょうか。

1  ヒョロガリ主人公が、全く女の子に相手にされない

2 かつてのヒョロガリ仲間が、ブルワーカーで、いつの間にかムキムキマッチョになっていた

3 ブルワーカーを購入、修行がはじまる 1日5分で、まったく、簡単に、ムキムキマッチョへ

4 女の子にモテモテ 

「おーい、順子早く来いよ!」   「おいでよ、君たち泳ごうよ!」

と、最後の調子ぶっこいたセリフがたまりません。

この広告の秀逸な点は、「身体を鍛える事」が目的じゃなく、鍛えて「女の子にモテる事」が最終目標である点です!

ぶっちゃけてしまえば、鍛えるなんてどうでもいいのです。

それは、1日、5分鍛えるだけでムキムキになるぞと宣伝している事でもわかる通り、楽してモテたいという欲望をこの上なく刺激してくること事にあるわけです!

そして、当時のピュアな少年たちは「1日5分なら、いける!」と信じて疑いませんでした。

ここで面白い雑学をひとつ。実はブルワーカー、あの怪しい漫画のイメージとは裏腹に、めちゃくちゃ真面目なトレーニング器具なんです。

ドイツのスポーツ科学が生んだ「アイソメトリックス(等尺性収縮)」という理論に基づいています。筋肉を動かさず、一定の負荷をかけ続けるこの手法は、実は非常に効率的。1972年のミュンヘン・オリンピックでは、最新のトレーニング機器として脚光を浴びたエリートなのです。

しかし、悲しいかな、日本では「ジャンプの裏の怪しいやつ」というイメージだったのであります。

多くの家庭では、最初は「ギューッ!」と威勢よく押し込まれていたブルワーカーも、数週間後には「部屋の隅のオブジェ」へと姿を変えていきました。あなたの実家の押し入れにも、まだ化石となって眠っているのではないでしょうか?

「秘密のハガキ」という名の、自分を変えるためのパスポート

ネットもAmazonもない時代、これらの禁断のアイテムを手に入れるには、住所氏名を書いたハガキをポストに投函しなければなりませんでした。

「宛先:〇〇商事 行」

ここで特筆すべきは、昭和の商売人たちの粋な配慮です。

彼らは、商品が届く際に家族に中身がバレないよう、伝票の品名に「日用品」や「学習教材」と記載してくれるという、涙ぐましい隠蔽工作を請け負ってくれました。

あの頃の僕たちが1,000円や2,000円を握りしめて買ったのは、ただの健康器具ではなく、「自分を変えられるかもしれない」という明日への希望だったのです。

あの頃、僕たちは夢のカタログを読んでいた

今にして思えば、パンツを履いただけでモテるわけもなく、ブルワーカーを5分やっただけでシュワルツェネッガーになれるわけもありません。

しかし、あの裏表紙の広告は、閉塞感のある日常を生きる少年たちに「君だって変われるんだぞ」という、いかがわしくも明るい未来を見せてくれました。

皆さんの思い出の「裏広告」は何ですか?

シーモンキー? X線メガネ? それとも、本気で信じていた「念力習得キット」?

もし今、実家の片付けをしていてブルワーカーが出てきたら、ぜひ一度、全力で「ギューッ!」と押し込んでみてください。

あの頃のモテたいという情熱と、バネの軋む音が、あなたを昭和のあの夏へと連れ戻してくれるはずですから。

カッパ隊長でした。

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